いぶし銀の魅力でキャラクターを演じ分ける水野龍司さん
渋い声優さんピックアップしますよ、水野龍司さんです。
いろんな海外ドラマをよく耳を澄まして聞いていると「あら水野龍司さん」「えっ、もしかして水野龍司さん?」がよくあります。
バイプレイヤーの吹き替えが多く、柔らか系の落ち着いたトーンでジワ〜っとくるお声が印象的。
※紹介しているのは私が今まで観たドラマ限定です。
※2022.09.15追記あり。
ランダルの実の父、THIS IS USのウィリアム・ヒル
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(↑ウィリアム&ランダル。nbcthisisus/The official profile for #ThisIsUs on @NBC.より)
水野龍司さんは『THIS IS US』で白人家庭の養子になったランダルの実の父ウィリアム・ヒルの吹き替えを担当。
『THIS IS US』はピアソン夫婦の36歳時の過去と、その子どもたちが36歳になった現在(三つ子)がクロスオーバーする人間ドラマ。
水野さんが声を担当するのはその36歳になった三つ子の一人ランダル、3人兄弟のナンバー3で家庭で唯一の黒人、その実の父ウィリアムです。
ランダルは生まれてすぐ消防署の前に捨てられ、縁あってピアソン夫婦の養子に。
白人家庭で育つ養子の黒人の子ども、同い年の兄弟やそれぞれの個性や親との関係などでいろいろなことが起こるのですが…。
最初、ランダルの実の父ウィリアムが登場したとき、想像していた人とあまりに違って驚きでした。
私の先入観では、子どもを生まれてすぐ捨てるということ、黒人ということでアルコールやドラッグの問題を抱えた危険な人だろうと。
でも現れた彼は物静かで知的なアーティスト。
「予想とだいぶ違うんですけど。でもほんとのとこはどうなの?」とまだまだウィリアムを疑う私。
ランダルと再会したウィリアムは末期癌に冒された弱々しい声。
この吹き替えの特徴は、静かな波間をプカプカ浮いてるような独特の浮遊感。
いや、生き仏みたいななんともいえないありがた感さえ漂う吹き替え。
キャラクターと声があまりにリンクしたのと、今まで意識したことのなかった声のタイプだったのですごく印象に残りました。
最初は「ウィリアム実は悪い人なんじゃない?」とまったく信用できず。
ランダルの家庭で一緒に暮らすことになってランダルの奥さんや孫娘たちと次第に打ち解けていくウィリアム。
いつでもどんなときでも水野さんのまったり口調で、彼が出てくると急に時間がスローに。
ウィリアムは詩人でミュージシャン。
母の死によって薬物に手を出し自分の子どもを捨てるまでになってしまった彼。
若かりし頃のウィリアムの吹き替えもとてもよくて(吹き替えの声優さんがわかりませんでした)、水野さんの声が演じるシニアウィリアムを若くしたらほんとこんな感じ!
若い頃から物静かなトーンで、年老いてからの声との違和感がなくてよかった!
ランダルにはウィリアムのアーティスティックな部分は遺伝しなかったようだけど、性格の根底にはしっかり父と子のつながりを感じるところが。
ランダルの優しい性格はウィリアムから受け継いだ天性のものに、ピアソン夫婦の愛情がプラスされたものだと思うし、この親子が一緒にいるシーンは「このまま平和に何も起こらないで」と祈るような気持ちにさせてしまう不思議な力が。
仕事に家庭にお疲れの方、水野龍司さん入門編として『THIS IS US』いかがでしょうか?
(↑若き日のウィリアム。nbcthisisusより)
(↑左からジャック、ランダル。ウィリアム。nbcthisisusより)
北極北西航路探検隊隊長、ザ・テラーのジョン・フランクリン
(↑ジョン・フランクリン。aidanmonaghanphotographerより)
水野さんは『ザ・テラー』(シーズン1)で英国海軍の北極の北西航路探検隊の隊長&エレバス号の艦長でもあるジョン・フランクリンの吹き替えを担当。
『ザ・テラー』はアマゾンプライムビデオのみで配信されている探検歴史ホラーミステリー?(ジャンル分けが難しい)ドラマ。(2021.10.02現在)
怖いのは苦手、生々しい描写もダメなのにレビューがよかったから&史実を元にしているというところに惹かれ、この手のドラマに初挑戦。
実際の事件(事故?)「フランクリン遠征隊」も謎に包まれていて、それがドラマ化されたということで期待度大でした。
水野さんが吹き替えるキャラクターは、この探検隊の隊長ということで『THIS IS US』のウィリアムとは大違いのどっしり落ち着いたお声。
大勢の船乗りを率いるリーダーらしい威厳と貫禄があります。
そう、最初声を聞いたとき「聞いたことあるなぁ〜この声。誰だろう」と特に気にぜず観ていたところエンディングで「水野龍司」のクレジットが。
「ちょっと〜、ウィリアムとだいぶ違うんですけど。でも隊長の声も素敵」と予期せぬ出会いに浮かれる私。
このドラマ、ヨーロッパからカナダ北部を通って太平洋に抜ける北西航路を開拓するための探検隊が北極圏で全滅するというお話。
氷に閉ざされた北極圏に、海が凍りついて身動きの取れない探検隊のエンバス号とテラー号2隻の船、閉鎖的な空間に男ばかりでむさ苦しさ100%。。
そんなところで正体不明の敵が凄まじい暴力で探検隊を襲うという、どう考えてもハッピーエンドが望めそうにないストーリー。
(↑2隻の船が遭難したとされるビクトリア海峡はマークがあるキングウィリアム島の近く)
水野さんが吹き替えるフランクリン隊長、最初はいい隊長だなと思ったんです。
氷に閉ざされ身動きがとれない探検隊に、時期が来たら必ず脱出できると安心感を与える頼れるリーダーなのです、なのですが…。
いい風に言えば「隊長らしくどっしりしている」のですが、悪く言えば「優柔不断」。
主人公の副隊長兼テラー号艦長のフランシスの助言(救助を依頼する、船を捨てて陸地を目指すなど)を無視し、いつまでも行動を起こさない謎の余裕を見せるフランクリン隊長。
フランクリン隊長の金魚のフン的部下のジェームズ・フィッツジェームズも、隊長イエスマンでフランシス副隊長のアドバイスなんて適当にあしらう&アル中呼ばわり。(確かにフランシスはアル中でしたが途中劇的に復活!)
この判断がのちのち惨劇を大きくするひとつの原因に。
でも、早々に船を捨てて陸地を目指してもきっと惨劇は起きていたはずですが、まぁそれは置いといて。
判断力に欠けるフランクリン隊長の声は水野さんで正解。
安心感を感じる重厚な声の厚みに、状況が冷静に判断できないリーダーとしての致命的な欠点が覆い隠されてしまう…。
で、彼は序盤で死亡してしまうのですが…、こんなに早くいなくなってしまうのは意外でしたが。
個人的にはフランクリン隊長がもっと「なんとかなるって」的発想でグダグダと氷の世界にとどまって主役のフランシス副隊長はテラー号を追放されて、エレバス号VSテラー号の小競り合いが続くかと思ったのですが、そこは正体不明の敵の出現で物語が一気にホラーへ。
終盤は人間版正体不明の奴も出現するしもうたいへん!
このドラマ登場人物、ヒゲ率が高く誰が誰か見分けがつきにくい!
ちょっと時間が空いて続きを観だすと「これどんなキャラだっけ?」と思い出すのに四苦八苦。
個性的にはエンバス号の外科医グッドサーが身を挺してフランシスを助けようとしたこと&ヒッキーが正体不明の敵よりも一番怖かったことが印象的でした。
また、登場する人物はレディ・サイレンス以外は実在の人物とのこと。
このドラマを見た後、実際はどうだったのだろうかとすごく興味がわくと思います。
ちなみにシーズン2の『ザ・テラー:不名誉』はシーズン1とはまったく別のストーリー、現在アマゾンプライムビデオで配信中です。(2021.10.02現在)
(↑フランクリンとフィッツジェームズ。aidanmonaghanphotographerより)
フランシス/根本泰彦
フィッツジェームズ/武田幸史
ヒッキー/遠藤純平
他にもこんなキャラクター吹き替えてます
私が今まで観たドラマ限定です。
ザ・ルーキー 40歳の新米ポリス!?のパーシー・ウエスト
(↑パーシー&ジャクソンのウエスト親子。therookieabcより)
40歳で警察官に転職した中年男ジョン・ノーランの奮闘を描くドラマ『ザ・ルーキー 40歳の新米ポリス!?』。
水野さんは主人公ノーラン(吹き替えは堀内賢雄さん)の同期の新人警官ジャクソンの父で、内務調査官のパーシー・ウエストを担当。
ノーランが犯人を射殺したとき調べるのがこのウエスト警視、お偉いさんです。
息子のジャクソンは2世警官と周囲から見られていても特別扱いされるのを嫌がり、懸命に仕事に取り組みます。
そんな良好な親子関係を乱すような情報がジャクソンの耳に。
それは父ウエスト警視が過去、汚いことに手を染めていたようなことをジャクソンにほのめかす犯罪者が。
クリーンなウエスト警視の本性はどうやらシーズン2以降に明かされるようです。
残念ながら私はまだシーズン1しか観ていないので今後のお楽しみです。
『ザ・ルーキー』のようにロス市警が舞台になったドラマはこちら↓
バラエティ豊かなロス市警LAPDものドラマ以前「ロス市警 LAPDが舞台の海外ドラマで打順を組んでみた!」でロス市警が舞台の海外ドラマを打順で紹介。切り口を打順から主人公の職種別に変更して再投稿。ロス市警とはカリフォルニ[…]
グッド・ワイフ&グッド・ファイトのジャレッド・アンドリュース
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(↑thegoodfightcbsより)
ジャレッド・アンドリュースは『グッド・ワイフ』とそのスピンオフドラマ『グッド・ファイト』にも登場する弁護士。
年齢は60代くらいでしょうか、グレイヘア&細身の紳士です。
どんなキャラクターかと言いますと、忘れた頃に出てくる弁護士です。
『グッド・ワイフ』では主人公アリシアが所属するロックハート&ガードナー法律事務所が裁判で争う相手側の、『グッド・ファイト』では主人公ダイアンが所属するレディック&ボーズマン法律事務所が裁判で争う相手側の弁護士。
なのでたま〜に顔を出す常連さん予備軍みたいなキャラ、「あぁ見たことある顔」っていう。
相手側の弁護士なんで法廷で激しめ口調でやりあってます。
『グッド・ワイフ』の女性陣で打順を組んでみました!↓
グッド・ワイフの女性陣で打順を組んだらこうなった! この投稿をInstagramで見るJulianna Margulies(@juliannamargulies)がシェアした投稿(↑[…]
モーツァルト・イン・ザ・ジャングルのウィンズロー・エリオット
(↑mitjamazonより)
ニューヨーク交響楽団を舞台に、オーボエ奏者をめざす女性ヘイリーと、指揮者に就任したロドリゴを中心とした人間ドラマ『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』。
『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』はクラシックに詳しくない私でもストーリーも音楽も楽しめるドラマです。
水野さんはシーズン1第8話から登場するピアニストのウィンズロー・エリオットを担当。
このウィンズロー、どうやら伝説といわれるような一流ピアニストらしいのですが、演じているのがクセモノ感強めのウォーレス・ショーン!
海外ドラマ好きならどっかで見たことある人。
『グッド・ワイフ』ではマフィアのボスのルモンド・ビショップ専属の一見役に立たなさそうな弁護士チャールズ・レスターを演じていたお方。
どうもその先入観で「絶対変な人だ」と思ってたら、やっぱりウィンズローも変な人だった。(笑)
水野さんが吹き替えると、一瞬毒っ気を感じないのに次第に狂気が見えてくることがあって、ウィンズローはそのパターン。
シーズン2ではマエストロの作曲した交響曲を「いろんな作曲家のパクリ」と酷評し部屋から追い出されたりとおもしろいおじいちゃん。
こういうパターンの水野さんも好きです。
(↑向かって一番左がウォーレス・ショーン。mitjamazonより)
刑事ジョン・ルーサーのジョージ・スターク
(↑bbciplayerより)
『刑事ジョン・ルーサー』面白いですよね。
なかなかショッキングな場面もありますが、イギリスらしいどっしりしたドラマで主人公のジョン・ルーサー(吹き替えは坂詰貴之さん)もすごく魅力的な男性です。
水野さんはシーズン3から登場する公安部の警視ジョージ・スタークを担当。
彼の役目は部下のグレイ(吹き替えは木下紗華さん)とともにルーサーを監視し調べること。
部下のグレイはもともとルーサーと一緒に働いていた女性、ところがルーサーの不正を暴こうとしたがうまくいかず公安に移動になっています。
なぜルーサーが調べられているのか、それは彼の周りであまりに多くの人が死んでいるから。
まず目をつけたのはルーサーの部下で彼に心酔しているリプリー。
いかにも公安らしい高圧的な態度でリプリーを引きずり込むスターク、こういうキャラもいつもの穏やか吹き替えとひと味違っていいですよ。
ビッグバン★セオリーのバーナデットの父
It's official! #CaseySander will return as Bernadette's stern but sentimental dad in an upcoming #BigBangTheory! pic.twitter.com/JvFZw50puC
— The Big Bang Theory (@bigbangtheory) January 27, 2014
(↑バーナデットの父とハワード。bigbangtheoryより)
オタク男子4人のモテないけど楽しい日常を描いたコメディドラマ『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』。
水野さんはオタク男子の一人ハワードの恋人(のちに妻)のバーナデットのお父さんを担当。
小柄でかわいいバーナデットが、ハワードと結婚してから彼の母そっくりに大声で怒鳴ったりと変貌していくのが大好き、最初怒鳴ったときはビックリしたけど。
結婚するまでは小柄でかわいくて優しいイメージだったのに、だんだんハワードを尻に敷くように。
そんな彼女のお父さんは元警官でいかにも腕っ節が強そうな男性。
華奢でいかにも理系マザコンハワードはこのお父さんにいつもビクビク。
娘のバーナデットもこんなお父さんを怖がっているのかも思えば、酔った勢いでお父さんを叱り倒したりと、彼女の変身ぶりは毎回楽しみでした!
ワンス・アポン・ア・タイムのマルコ/ゼペット
(↑マルコ/ゼペットを演じたトニー・アメンドーラ。beyondthegatebgより)
『ワンス・アポン・ア・タイム』は童話の世界の登場人物たちが呪いにより記憶を失い現実世界で暮らしてところに、救世主ともいえ主人公エマが現れて…というなんとも説明が難しいストーリー。
水野さんが吹き替えるマルコは現実世界に暮らす修理工、童話の世界ではピノキオを作ったゼペット。
童話の世界ではゼペットの息子ともいえるピノキオが現実世界では大人の男オーガストとなってマルコの前に現れますが、呪いのため体がだんだん木になっていくのです。
オーガストはこのまま木になってしまうのか、それとも父マルコともう一度暮らせるようになるのか。
それは観てのお楽しみ。
おまけ|劇場版 ダウントン・アビーのジョージ5世
(↑ジョージ5世とメアリー王妃。downtonabbeyfilmsより)
大好きなドラマ劇場版『ダウントン・アビー』の劇場版にも水野さんが登場。
演じたのは主人公一家クローリー家のお屋敷ダウントン・アビーを訪問するイギリス国王ジョージ5世。
劇場版ではこの国王のダウントン訪問がストーリーの主軸なっています。
国王は皇太子のアフリカ同行をクローリー家の次女イーディスの夫に頼みますが、出産時期と重なるため夫に行って欲しくない彼女。
夫も妻の懐妊を国王に伝えて遠回しに「行けない」ことを伝えようとしますが、男の国王にはまったく伝わらず。
そんなイーディス夫妻に助け舟をだしたのが妻のメアリー王妃。
彼女の口添えでアフリカ同行が回避できたイーディス夫妻。
国王といえども、女の気持ちにちょっと鈍感な一人の男だなぁと感じたことがすごく印象に残っています。
威厳がありつつもどこかほんわか優しい国王役もまた素敵。
あと、メアリー王妃役のジェラルディン・ジェームズ、ザ・王妃って感じで大好き!
(↑国王ジョージ5世。downtonabbeyfilmsより)
【追記】2022年9月13日70歳でお亡くなりに
突然の訃報にびっくり。
2022年9月13日に70歳でお亡くなりになってしまいました。
『THIS IS US』のウィリアムのイメージが強いせいか、もう少しお年を召していらっしゃるかと思ったらまだ70歳…。
まだまだお声が聞けると勝手に思っていたせいかショックはかなり大きかったです。
温もりを感じる声から優しいキャラの吹き替えのイメージがありますが、たまにアクの強いキャラで声が聞けるとその意外性にワクワクしました。
なので『刑事ジョン・ルーサー』のルーサー(坂詰貴之)を執拗に調べる蛇のような男ジョージ・スタークは印象に残っています。
あと映画では『ナイト・ミュージアム』のガイウス・オクタウィウス。
アメリカ西部開拓時代の人形ジェドことジェデダイア(森川智之)といっつももめてるオクタウィウス、あのやりとり大好き。
印象的な吹き替えがもう聞けないのは残念ですが、まだ会えていない水野さんのキャラはまだまだたくさんあるので、この先も楽しませてもらいますね。
一部ですが、水野龍司さんが声を演じたキャラクターを紹介しました。
特徴のある声なので一度覚えればいろんなドラマで登場しているのがわかると思います。
気になるキャラは随時追加していく予定です。
また、ドラマ名はわかるけど声優がわからない、そんなときは「ドラマ別吹き替え声優インデックス」へどうぞ!
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