ミレニアムに失踪した女の子を殺したのは?『埋もれる殺意』S3
現在アマゾンプライムビデオで配信中の『埋もれる殺意~18年後の慟哭~』(2020.10.10現在)。
埋もれる殺意シリーズのシーズン3にあたる『18年後の慟哭』は、シーズン1の『39年目の真実』、シーズン2『26年の沈黙』と同様に、関係者の知られたくない過去が白日のもとにさらされながら、事件の真相に迫っていきます。
シーズン3は主人公キャシーの「どうにもならない気持ち」が特に印象に残りました。
※ネタバレ若干あります。
『埋もれる殺意~18年後の慟哭~』とは
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高速道路のど真ん中、排水管の交換工事中に発見された白骨死体。
骨折治療のプレートから18年前の1999年大晦日に行方不明になった16歳の女の子と判明。
しかし骨が発見されたのは、彼女が暮らす町ミデンハムからは遠く離れたロンドン。
地元で殺されたのか、ロンドンで殺されたのか、そして誰が殺したのか。
キャシーたちの捜査が始まります。
主な登場人物
※カッコ内は吹き替え
ビショップ署
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(↑キャシーとサニー。itvより)
●キャシー・スチュアート(主人公/野沢由香里)
ロンドン・ビショップ署の警部。
被害者やその家族に寄り添う心優しい女性。
息子はNYに滞在、一緒に暮らす父は恋人と充実した時間を過ごしている。
●サニー・カーン(キャシーの相棒/目黒光祐)
キャシーの頼れる部下。
シングルファーザーで年頃の娘二人と暮らしている。
新しい恋人サルとうまくいっているよう。
●マーレイ(キャシーの部下:ベテラン/北田理道)
●ジェイク(キャシーの部下:若手/横田大輔)
●フラン(キャシーの部下:勘が鋭い/尾身美詞)
●ジョン・ベントリー
被害者ヘイリーが行方不明になったときの担当警部。
現在は退官しているが、彼女の骨が発見されたことによりヘルプとしてビショップ署にやって来る。
被害者とその家族
●ヘイリー・リード(被害者)
高速道路の下から発見された被害者。
1999年大晦日にバイト先のパブをでて行方不明になった。
●ジェシカ・リード(被害者の双子の姉妹/阿部彬名)
ヘイリーとは一卵性双生児の姉妹。
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(↑ジェシカ・リード。eleanorbakercostumedesignより)
容疑者とその家族
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(↑左からティム、ジェームズ、クリス、ピート。eleanorbakercostumedesignより)
●ティム・フィンチ(荒井勇樹)
医師。
患者の家族から暴言や脅迫などで訴えられている。
●デラン・フィンチ(押川チカ)
ティムの前妻。
ティムから虐待を受けていたと訴えるが、周囲からは情緒不安定からくる妄想だと思われている。
●ジェームズ・ホリス(島田岳洋)
ジャーナリストでクイズ番組の司会も務める。
前妻との間の息子エリオットの素行に振り回されている。
●メリッサ・ホリス(ジェームズの前妻、エリオットの母)
●エリオット・ホリス(細谷佳正)
ドラッグ依存と性同一性障害を抱えるジェームズの息子。
10代の頃から問題を起こしている。
●エミリー・ホリス(ジェームズの再婚相手)
●クリス・ロウ(上別府仁資)
バンで暮らす絵描き。
以前は広告代理店のCEOだったがある事件でホームレスに、しかし友人のティムの助けにより今の生活を送っている。
難民のジャミラとの結婚を考えている。
●ジャミラとアシフ
クリスと親しくする難民の親子。
●ピート・カー(武田太一)
25年間香港で働き、今はロンドンの金融会社で営業マンをしているがお金に困り顧客の投資資金を横領してしまう。
香港時代、詐欺事件で逮捕、服役していた過去が。
●マリア・カー(ピートの妻)
ピートとの間に二人の息子がいる。
ティム、ジェームズ、クリス、ピートは学生時代からの友人。
ヘイリーが行方不明になったミデンハムの貸別荘に、年末から年明けにかけ家族とともに滞在していた。
●エイドリアン・マレリー
被害者ヘイリーの恋人。
現在は女子校で教師の職に就いている。
失踪当時、犯人扱いされ警察を憎んでいる。
●サンドラ・レイワーズ
ロンドンの市営住宅に住む27歳の女性。
ブログにヘイリーの事件のことを投稿しアクセス数を伸ばすが、これがピートを巻き込んだ事件に発展する。
大まかなあらすじ
若干ネタバレあります、知りたくない方は飛ばしてください。
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(↑itvより)
●序盤(第1話〜2話)
ロンドン北部の工事中の高速道路のど真ん中で白骨化した死体が発見される。
ビショップ署の警部キャシーは骨折治療のプレートから身元を割りだす。
被害者ヘイリーが暮らしたミデンハムで失踪を担当した元警部のジョンから話を聞くキャシーとサニー。
町にたくさんの貸別荘があることから、ロンドン在住者がミデンハムでヘイリーを殺害し、土地勘のあるロンドンに持ち帰り遺体を遺棄したのではないかと考え始める。
そんなとき、ヘイリー失踪の2日前に別荘の掃除のアルバイトを代わってもらったという彼女の友人が現れ、キャシーたちはその別荘の滞在者たちに話を聞こうと動きだす。
●中盤(第3話〜5話)
別荘に滞在していた学生時代の友人4人(ティム、ジェームズ、クリス、ピート)それぞれに話を聞くと、ヘイリーが失踪したとされる日の夜は誰も出かけていないと証言するが、ジェームズの前妻メリッサはまったく違う証言をする。
怪しいと睨んだキャシーたちは、当日夜の男4人の行動を調べてみると、それぞれに疑わしい部分が明らかに。
ヘイリーの日記にあった失踪直前会っていたドラッグの売人の証言から、犯人と思われる人物を二人まで絞り込む。
さらに別荘からロンドンへ移動して遺体を遺棄するときの犯人の心理を読み、逮捕にこぎつける。
家宅捜索で「戦利品」と思われるものを発見。
ヘイリーにつながる証拠となるのか?(この時点で明確なヘイリー殺害の証拠はなし)
●ラスト(第6話)
家宅捜索で「戦利品」が見つかるが、それはヘイリーのものではなく新たな犯行につながるものだった。
ヘイリー殺害の証拠探しと同時に、新たな被害者と犯人の接点も探すキャリーたち。
自白に追い込むが、罪悪感も他人への共感もまったくない「私は絵に描いたようなサイコパス」と自らいい放つ犯人。
記者もカメラもなしで見世物にしないと約束するなら他の犯行も教えるといい、遺体が埋められている現場へと案内する。
このサイコパスの事件にショックをうけたキャリーは休暇をとろうと決めた…。
見どころポイント
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(↑itvより)
みんなが抱えるさまざまな問題
容疑者たちの抱える問題
●ジェームズ
息子がドラッグ依存症、さらに性同一性障害だと知る。離婚歴あり。
●ティム
患者家族に暴言や脅迫で訴えられている。離婚歴あり。
●クリス
精神的な疾患を抱え、パニックになりやすい。離婚歴あり。
●ピート
営業成績が悪く妻に責められる中、顧客の投資資金を横領、詐欺の前科あり。
容疑者で友人4人中、3人が離婚歴あり。
離婚理由はそれぞれですが、みんな同時期に離婚しているのはなぜ?とキャシーたちはそこにも注目しています。
キャシーとサニーの抱える問題
●キャシー
同居する父の物忘れが進むが本人は認めない。
父が恋人との豪華な旅行や新居探しなどに散財するのが心配。
息子がNYに滞在、母のキャシーのことを思い出さないのか、めったに連絡してこない。
また、捜査中に関係者の資料をカフェに置き忘れネットに流出、容疑者を巻き込んだある事件に発展してしまう。
●サニー
新しい恋人サルと順調に交際しているが、別れた妻が突然現れ、もう一度一緒に暮らしたいと訴えてくる。
子どもたちが別れた妻と楽しそうに過ごしているのを見て、元妻とやり直すのか恋人とこのまま交際を続けるのか悩む。
私は年齢がキャシーに近いせいか、親のひどい物忘れや認知症の疑いを本人が認めたがらないことにすごく共感しました。
そんなキャシーは、事件で知り合った元警部ジョン・ベントリーといい関係に。
サニーも別れた妻ではなく今の恋人を選んだり、二人とも次のステップに進んだことがとても嬉しくなりました。
誰もが抱える問題や、不器用ながらもなんとか先に進んだり、そういう地に足のついたストーリーだからこそ、グイグイ引き込まれるのかも。
やっぱりキャシーは優しい
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(↑itvより)
シーズン1の『39年目の真実』では殺された被害者とその母に寄り添い、無念を晴らそうと努めたキャシー。
シーズン2の『26年の沈黙』では容疑者たちの壮絶な過去を知り、犯罪を立証することは本当に正しいことなのかと考えるキャシー。
この『18年後の慟哭』では被害者とその家族の再生に力を貸し、犯人のあまりに自分勝手な犯行に涙がこらえられなかったり憤ったり。
タイトルの「18年後の慟哭」は被害者やその家族はもちろん、犯人の家族にもあてはまる言葉。
そしてキャシーも表にはださないけれど、心の中では悲しみに耐えきれず声をあげて泣いていたと思います。
それくらい犯人はクズなんです、クズ中のクズです。
今回も冴えてるフラン
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(↑フラン・リングリー。tvsanjeevより)
キャシーの部下の女性フラン・リングリー。
シーズン2『26年の沈黙』から登場していますが、そのときはポケベルの穴あき数字の謎を解いて、関連する住所を突き止めています。
この『18年後の慟哭』では、被害者ヘイリーが残した日記から彼女が最後に目撃された時間が誤りだったことを発見。
さらに日記の暗号を解き、彼女のバイトの後の行動を突き止め、事件解決に大きく貢献しています。
シーズン2のレビュー「埋もれる殺意シーズン2~26年の沈黙~ 吹き替え版レビュー」で「将来有望な部下フラン」と書いていますが、私の読みは正しいかも!
頑張れフラン。
印象的なテーマ曲 Oh Wonderの『All We Do』
(↑Oh Wonder – All We Do。MrSuicideSheepより)
『埋もれる殺意』を観だすと脳内はテーマ曲の『All We Do』がエンドレスに。
歌っているのはイギリスのエレクトロ・ポップデュオ「Oh Wonder」。
無駄を削ぎ落とした静かなメロディと透明感あふれる女性ヴォーカルが印象的。
発見されず長い間、土や水の中にいた被害者たちや残された家族の嘆き、そしてキャシーたちの静かに燃える犯人逮捕の想いにも聞こえてきます。
最後に
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(↑itvより)
シーズン3の『埋もれる殺意~18年後の慟哭~』、やっぱり安定の面白さ。
関係者の過去やそれぞれの背景を丹念に追っていく捜査は地味だけど、一歩ずつ真相に近づいていくのは自分も捜査チームの一員になったようでワクワクします。
キャシー率いる捜査チームは、誰かが突出して活躍する、足をひっぱるということもなく、それぞれが自分の仕事を全うしチームワークも抜群でそこも好きなポイント。
犯人に罪を償わせようと奮闘するキャシーですが、今回の犯人は彼女の心も打ち砕くようなサイコパス。
そんな心も体もハードなキャシーに新たな恋の予感が。
シーズン2ではサニーとちょっと怪しくなりそうになったキャシーですが、無事軌道修正(?)していつもの上司と部下の関係に。(なんか安心)
今までのシーズンの中で、一番犯人が逮捕されてよかったと感じました。
シーズン1と2は犯人が人を殺めてしまった理由に納得できたのですが、『18年後の慟哭』はもうなんというか…。
全てを知ってからもう一度最初から観ると「あのことも、このことも犯人は全部何も感じてなかったのね」とサイコパスの恐ろしさがより伝わってきます。
シーズン2『埋もれる殺意~26年の沈黙~』の吹き替え版レビューはこちら↓
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