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再読|角川文庫『ロウフィールド館の惨劇』のレビュー

ドラマ化された原作でもありません。
20年ぶりくらいに読んだ角川文庫『ロウフィールド館の惨劇』が、やっぱり面白かったということで紹介したいと思います。
家にいる時間が長い今、文庫本サイズで300ページ弱なのですぐ読めると思います。

殺人の理由は読み書きができないから

いきなり殺した理由をいうんですか?と抗議されそうですが、本文冒頭にこの小説の答えが出ています。

ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである。
(角川文庫/ロウフィールド館の惨劇/ルース・レンデル 小尾芙佐=訳より)

私がこの『ロウフィールド館の惨劇』を知るきっかけになったのは、誰かの感想を読んだからだったような気がします。
興味を持ったのは、まずなぜ読み書きができない?という疑問と、なぜそれが殺人の動機になるのかということ。
一番のキーワードはやっぱり「読み書きができない」こと。
どうやって生きていくのか、そんな人が本当にいるのかと、まだまだ世間を知らなかった20年以上前の私。
読んでみて「なるほど」と納得。
第二次世界大戦により小さな不運が重なり、読み書きができないまま大人になってしまった主人公ユーニス・パーチマン。
彼女の心の闇が新たな闇を呼び寄せ、思わぬ惨劇に発展してしまいます。

主な登場人物

●ユーニス・パーチマン(主人公)
ブルカラー家庭の一人娘としてロンドンで誕生。
読み書きができないことを隠し、完璧な家政婦としてグリーヴィング村のカヴァデイル家に住み込みで働く。
好きなものはチョコレートバーとテレビでアメリカの刑事ドラマを観ること。
40代後半、恋人、友人なし、両親は他界。

●ジョーン・スミス
村の雑貨屋兼郵便局の店主の妻。
ユーニスがカヴァデイル家で働くようになってからできた唯一の友人。
昔は売春婦、現在は宗教に傾倒し、勧誘活動に精をだす。

カヴァデイル家

●ジョージ・カヴァデイル
アッパーミドルのカヴァデイル家の主人。
ブリキ缶製造会社の社長で1930年代の宏壮なロウフィールド館に住む。
妻のジャックリーンとは再婚同士。

●ジャックリーン・カヴァデイル
社交的でチャーミングなジョージの妻。
前夫との間の息子・ジャイルズを連れてジョージと再婚した。
目下の悩みは、手入れがされていないロウフィールド館をどうにかできる優秀な家政婦が見つからないこと。

●ミリンダ・カヴァデイル
ジョージの大学生の娘。
おしゃれや男の子に興味がある親しみやすい女の子。
家族の中で唯一ユーニスに家族のように接する優しい面が後に命取りになる。

●ジャイルズ・モント
ジャックリーンの高校生の息子。
いろいろなものに影響を受けやすい繊細で寡黙で知的な青年。
いろいろな書物からの引用句を壁に貼ったり自分の世界に閉じこもりがち、義姉ミリンダに密かに思いを寄せる。

●ピーター・カヴァデイル
離れて暮らすジョージの長男。
政治経済学を教えている。

●ポーラ・キャズウォル
ロンドンに住むジョージの長女、出産間近。

警察

●ウィリアム・ヴェッチ警視正
スコットランド・ヤードからカヴァデイル一家殺しを捜査するためにやってきた。
捜査の特徴は「特定のひとりの目撃者に的をしぼる」こと。

読み書きができないことで生まれたユーニスの心の闇

主人公のユーニス・パーチマンは、読み書きができないことを悟らせないようにする能力は長けていました。
そして読み書きができなくてもできること、人の弱みを握ることや脅迫が生きていく上で使える!とわかったのは彼女の本能ともいえるかもしれません。
でも読み書きができないために、社会に溶け込むことが難しく普通の人間関係を築くことができなかったユーニス。
子どものころからあった心の小さな闇が、年とともに大きくなっていることに本人も気づいていなかったでしょう。

彼女、家政婦としては完璧です。
彼女が来るまではカヴァデイル家が住むロウフィールド館はひどい状態でした。
館を取り仕切るジャックリーンが望む家事能力の全てをユーニスを持っていて、その家事能力以外の彼女の人間性にあまり興味を持たなかったせいでカヴァデイル家は殺されてしまいます。
そして彼女にとって唯一といえる友人ジョーン・スミスに出会ってしまったことがユーニス、ジョーン、カヴァデイル家の最悪の運命のスタートに。

カヴァデイル家で働き出したユーニスに訪れるピンチ。
もちろんそれは「読み書きができないことがバレそうになったとき」
いろんな方法で回避してきた彼女、なんとか切り抜けてきたその時限爆弾のスイッチを押したのは…。

映画化されていた『ロウフィールド館の惨劇』

『ロウフィールド館の惨劇』はなんと映画化されていました。(私は観ていませんが)
映画『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』は、日本では1996年に公開されています。
家政婦ユーニスに当たるソフィーはサンドリーヌ・ボネールが、友人ジョーンに当たるジャンヌをイザベル・ユペールが演じています。
原作でユーニスは骨太でガタイのいい中年女性、ジョーンは痩せぎすの元売春婦と二人とも荒んだ感満載ですが、映画化された二人はどちらも小ぎれいな感じ。
小ぎれいゆえに、一家惨殺へ走る狂気がより怖い感じに見えそう。
残念ながらアマゾンプライムビデオでは配信もレンタルもされていないので観ることができませんが、機会があればぜひ観てみたいです。

最後に

久しぶりに読んだ『ロウフィールド館の惨劇』。
面白くて一気に読んでしまいました。
以前読んだときよりも、ユーニスやジョーン、カヴァデイル夫妻の年齢に近くなった今は、若い頃よりいろんな登場人物の気持ちが断然理解できるように。
同じものを読んでいるはずなのに、印象に残る場面が変わっているのも新鮮な驚きでした。
絶対誰にも知られたくないコンプレックスを抱え、社会から取り残されたユーニスの孤独を感じた色褪せない傑作ミステリー、機会があればぜひ。

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