初のチェコ発ドラマ体験『静かなる逆襲』
以前の『管理人の海外ドラマ事情3【グッドオーメンズレビュー他】』で視聴中で紹介した『静かなる逆襲』を観終わったので、その感想をお伝えしたいと思います。
初めてのチェコのドラマということと、吹き替え派の私が久しぶりに字幕でドラマを観たのでそのあたりも含めて紹介します。
尚、極力ネタバレはないようにしていますが、ソフトなネタバレはありますのでご注意ください。
※2019年11月に投稿したものに手を加えています。
『静かなる逆襲』とは
(↑プライム会員なら追加料金なしで視聴可能(30日間無料体験もあり)(2021.10.20現在))
アマゾンプライムビデオで配信中の海外ドラマ『静かなる逆襲』。
原題はRapl(チェコ語で「狂人、頭のいかれた人、変わり者 、おかしなやつ」)で、主人公の特徴や犯人を表したものかと思います。
中央ヨーロッパ・チェコ共和国の国営テレビ局Česká televizeが制作した1〜2話完結刑事ドラマ。
チェコ版『BOSCH/ボッシュ』という感じでしょうか。
Drsný major Kuneš brázdí krajinou Severních Čech a bojuje pr…
主人公のクヌース警視はチェコの首都・プラハの犯罪捜査班の刑事。
元妻の恋人を暴行して「交換観察」という名目で山間部のヤーヒモフ刑事警察に異動になります。
異動の条件として提示されたのは、ヤーヒモフ刑事警察の刑事ハナ・ワーグナーが殺された事件を解決すること。
異動先の山間部の町でさまざまな事件を解決しながら「ハナ・ワーグナー殺人事件」も追いかけるクヌース。
チェコ版『BOSCH/ボッシュ』と書きましたが、LAを舞台にした『ボッシュ』を中央ヨーロッパらしい陰鬱な雰囲気にしたのがこの『静かなる逆襲』。
この二つのドラマの共通点は、規則や手順を無視した一匹狼の主人公の刑事が、若手の相棒やチームのメンバーとともに難事件を解決していくところ。
現在はシーズン2もアマゾンプライムビデオで配信中です。(レビューはこちら)
一匹狼の刑事が主人公の『静かなる逆襲』と『ボッシュ』は共通点がいっぱい↓
BOSCHのボッシュと静かなる逆襲のクヌースって似てない?己の正義を独自のスタイルで貫く一匹狼の刑事二人。一人はLA市警を舞台にしたアメリカのドラマ『BOSCH/ボッシュ』のハリー・ボッシュ。もう一人はチェコを舞台にしたドラ[…]
主な登場人物
ヤーヒモフ刑事警察
●クヌース(一匹狼担当)
主人公、都会のプラハから田舎のヤーヒモフに異動になった刑事。
常に仏頂面で余計なことは喋らない無骨なバツイチ男。
郊外のオンボロ一軒家に住み、プラハで元妻と暮らす一人娘ジョアナに何かあると車ですっ飛んでいく子煩悩な一面も。
(↑クヌース。ceskatelevizeより)
●ロハン(まとめ役担当)
ヤーヒモフ刑事警察署長、クヌースの上司。
クヌースのことは以前から知っているよう。
個性的なメンバーをまとめるリーダーだが、家族のトラブルに悩まされ不機嫌や八つ当たりも多々あり。
●グレゴール(ダークサイド担当)
クヌースと同じチームの警部補。
「ハナ・ワーグナー殺人事件」では捜査を担当していた。
以前はロビンとコンビを組んでいたが、あることをきっかけに犬猿の仲に。
内部調査の結果が気になる日々。
●ロビン(若手担当)
チームの中では一番の若手(たぶん)、苗字のルプネクで呼ばれることも多い。
着任したばかりのクヌースに事件の主導権を奪われ少々面白くない様子。
しかしクヌースとコンビを組み、彼の捜査手腕を知るうちに彼を認めるようになる。
さらにクヌースが彼の命の恩人になるような事件にも遭遇。
子どもが生まれてからは夜泣きに悩まされ、毎日睡眠不足。
英語、ドイツ語が堪能。
●マチャ(食いしん坊担当)
いつでもどこでも何かを食べている警部補。
刑事としての能力は決して低くはないが、食い意地がはっているのと少々だらしないのが玉にキズ。
趣味の悪い料理動画「マチャのグレートなご馳走」を配信、そこそこアクセスがあるようで地元のラジオ番組にゲストとして出演したりも。
サティヤからはよく変態呼ばわりされている。
●サティヤ(紅一点担当)
妊娠中の警部補、苗字のスレピーで呼ばれることも多い。
捜査以外にも広報のようなことも担当。
妊娠中は動くのが億劫なようで「やる気がない刑事?」と思っていたが出産後はバリバリ仕事をこなす、ちなみに旦那が産休を取ったらしい。
勘がするどく「できる刑事」だが勝手な行動でロハンから大目玉を食らうことも。
捜査関係
●検視官(現場担当)
事件現場に来る検視官、いつもベージュのトレンチコートを着ている。
チームのメンバーから死因や死亡時刻を聞かれても「詳細は検視の後で…」など、確証がないことは決してその場では口にしない。
検視後は必ず髪を撫で付けるのが癖で、それをマチャが真似することも。
●ミスターKGB(内部調査担当)
地域安全警察監査のホイザー大佐。
影でミスターKGBと呼ばれている。
グレゴールとロビンが関わった事件を捜査しグレゴールの処分にも一枚噛んでいる、また警察からの情報漏えいも捜査している。
クヌースの手腕を知って監査にスカウトするも振られるが、その後クヌースの内部調査をすることになる。
●スタドラー(外国人助っ人担当)
ドイツの秘密諜報部員。
同僚の諜報部員がチェコで殺され、それを捜査するクヌースたちに協力する。
ベトナム語が話せるのでインチキ通訳を見抜いたり、クヌースとロビンが銃所持でドイツの警察に捕まったときも助けたりなど頼りになる男。
●ローラ警視(味方担当)
クヌースの処分決定時に唯一彼をかばったプラハ時代の女性上司。
ハナ・ワーグナー殺人事件の解決を命じたのが彼女。
クヌースの暴行相手ウパルに訴えを取り下げるよう説得するほど、彼の実力を買っているよう。
数回、ヤーヒモフのクヌースに会いに行っている。
家族
●アリス(元妻担当)
クヌースの元妻。
今は恋人ウパル(のちに再婚)と娘ジョアナとプラハで暮らす。
●ジョアナ(娘担当)
クヌースとアリスの娘。
お年頃のせいか、ぶっきらぼうな口を聞くが父親のことは好き。
母の恋人ウパルにイギリスに留学させられようとするもクヌースが回避させる。
とにかくウパルのことを毛嫌いしている。
●ウパル(クズ担当)
クヌースの元妻の恋人、のちに結婚。
クヌースにボコボコにされ入院、賠償金をふんだくろうとするもクヌースをかばった女性上司から黒歴史をネタに脅され和解条件をのむ。
娘ジョアナがウパルと何かあると、国の反対側に飛ばされたクヌースが怖い顔してやって来て脅されるため、クヌーストラウマが消えない男。
●マルタ(依存症担当)
ロハン署長の妻。
アルコール依存症で、交通事故をきっかけにリハビリ施設に入ることを決める。
●ルーカス(兄担当)
ロハン署長の兄。
製材所を経営、弟のロハンに狩猟用の高価な銃をプレゼントするなど羽振りがいい。
チームの面々とは面識があり、弟を訪ねて署にやってくることも多い。
●ルーシー(新妻担当)
ロビンの恋人、のちに結婚、出産。
結婚式当日、ロビンが現れないというアクシデントも。
ロビンに自立したところを見せたくてマルチ商法にひっかかり、ヤバイ闇金に手を出してしまう。
●ベネッサ(謎の女担当)
グレゴール警部補の妻。
ドリームキャッチャー作りなどハンドメイドが趣味。
ある事件がきっかけでグレゴールと結婚した元売春婦。
マルタやロビンは彼女のことを嫌っている。
大まかなあらすじ&見どころポイント
大まかな話の流れ
(↑シーズン1ダイジェスト。ceskatelevizeより)
●序盤(第1話〜4話)
プラハからヤーヒモフに異動になったクヌースを取り巻く環境と、ロハンをはじめ新たな警察でのチームメンバーの背景など。
次々起こる殺人事件を捜査、解決するクヌースたち。
クヌースがプラハに戻る条件のハナ・ワーグナー殺人事件に似た、殺した女性を十字架にように飾る猟奇的な事件が発生。
ハナ・ワーグナー殺人事件と同じ犯人なのか?
犯人を追い詰めるクヌースたち。
●中盤(第5話〜10話)
クヌースと、離れて暮らす娘ジョアナとスキー場で休暇を楽しんでいるときも事件に見舞われる。
グレゴールの妻ベネッサと関係を持つクヌース、彼女はどこか裏がありそうだが…。
チェコ・ドイツ間の麻薬取引と情報漏洩が起きる。
麻薬カルテルのボス・ジェリコは何かを企んでいる様子。
●終盤(第11話〜13話)
ベネッサと関係を持ったクヌースに内部調査が入る。
麻薬取引に関わる複数の人間の関与が浮上し、意外な人物の裏の顔が明らかに。
ハナ・ワーグナーがなぜ殺されたのか、そして一度は解決したかにみえた事件の真犯人は?
クヌースは娘と新たな生活を始めることになり…。
主人公クヌースの魅力
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(↑向かって右がクヌース、左がロビン。ceskatelevize/Česká televizeより)
決してイケメンでもなく始終無愛想なクヌース、最初は「ほんとに主人公?」と思ったくらい。
田舎に異動になってやさぐれてるのかと思えばそうでもなく、ただただ刑事の仕事を全うするプロの姿は惚れ惚れします。
長年の経験から事件を的確に解決していく手腕と、必要なこと以外話さない笑わないクールな男。
でも娘に対する大きな愛情というギャップがまたいいところ。
チェコらしい事件の背景
周辺をドイツ、スロバキア、ポーランド、オーストリアに囲まれているチェコ。
昭和生まれには分離前のチェコスロバキアの方が馴染んでいますが。
ドイツとの国境に近いチェコ・ヤーヒモフ、ロシア人、ウクライナ人など近隣諸国の人がたびたび登場したり、簡単に国境を超えてドイツに情報収拾しに行ったり、国を超えたゴミの不法投棄や、数カ国語話せる人は珍しくないなど、さすが地続きのヨーロッパという感じ。
麻薬密造工場ではベトナム人が働いてたり、「アジア人が!」と罵ったりする場面もあってチェコの山間部にまでアジア人がいることにはびっくり。
あと、山ということもあり、狩猟シーンやバイアスロン(クロスカントリーとライフル射撃を組み合わせた競技)なども出てきます。
狩猟解禁でロハンは早速狩りに出かけたり、密猟が事件のきっかけになったりなど欧米のドラマではあまり出てこないような事件の背景も。
主人公のクヌースはヘビースモーカー。
画面が煙で白いこともしょっ中で、それを見てるだけでむせそうになるくらい。
また、突き抜けた明るい雰囲気は一切なく、深い森と静かな池、煙を吐く工場の煙突に寒々しい風景、もう気分が滅入ること間違いなし。
登場人物全員何かしら影を感じるのは、このような風景に雪や曇りのシーンが多いせいもあるかも。
プラハに戻る条件「ハナ・ワーグナー殺人事件」の解決
クヌースの異動の条件となったヤーヒモフの刑事ハナ・ワーグナーが殺された事件、これは見事クヌースが解決するのですが…。
このドラマの柱となるような事件がけっこう序盤で解決されてしまいちょっと物足りない感じ。
殺されたハナ・ワーグナーの夫が犯人が逮捕されてもどこか納得いかない様子だったこと、またグレゴール警部補がワーグナーの資料の一部を持ち出して車に隠していたことなど、まだ何か謎があるような伏線が。
結局最後に真相がわかるのですが、ハナ・ワーグナーについては事件の真相をもっと深く掘り下げてほしかった、というのが私の感想です。
久しぶりの字幕版
『管理人の海外ドラマ事情3【グッドオーメンズレビュー他』でも触れたのですが、久しぶりに字幕で海外ドラマを観たら疲れた疲れた。
普段は吹き替え派なので、絵と字幕両方追うことに慣れるまで時間がかかりました。
しかも字幕の文字が黄色、たまに音引き(音をのばす時の横棒「ー」)がオーバーラインの「¯」で表示されていたり、たまに変な日本語や漢字があったりなど、字幕に少々問題あり。(そういえばなぜか第5話だけ文字が白)
もしかして字幕派の人はそれほど違和感を感じないのかもしれませんが、私はこれに慣れるまで軽い「字幕酔い」になったほど。
字を追いかけるのに必死で内容が入ってこない、ただ字幕を読んでるだけ、という状態が第3話くらいまでありました。
そういえば全13話観てもチェコ語、ひと言も覚えられませんでした…。
最後に
『静かなる逆襲』どうでしたか?
派手なアクションもイケメンも登場しませんが、ひとつずつ推理と証拠を積み上げていく正統派サスペンスが好きな方にはおすすめです。
主人公のクヌースの荒々しい魅力に興味が湧いた方、チェコのドラマってどんな感じ?という方、ものは試しで一度観てみては。
現在は続編のシーズン2もアマゾンプライムビデオで配信中です。
追記 シーズン2について
【追記 2020.05.16】
『静かなる逆襲』シーズン2観終わりました。レビューはこちら↓
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