十角館の殺人とは
(↑Hulu Japan公式より)
Huluで2024年3月22日(金)から配信がスタートした日本のドラマ『十角館の殺人』。
綾辻行人のデビュー作で、以降、館シリーズは人気に。
以前、「管理人の海外ドラマ事情20【有言不実行の日々】」で観る予定と紹介したドラマ。
配信開始から見るまでに時間が空いたのは原作を読んでいたため。
ある手紙がきっかけで大学生の江南と、暇を持て余したお寺の三男坊・島田潔が、天才建築家・中村青司が設計し殺人事件が起こった角島・青屋敷と十角館での殺人事件の謎を追うミステリー。
無人となった角島に残った十角館に合宿に行った大学のミステリ研究会のメンバーが次々殺されていく。
メンバーたちは死んだはずの中村青司が犯人では?と疑い始め…。
その頃、研究会を辞め合宿に参加しなかった江南は、角島での連続殺人を知らず過去の角島・青屋敷の殺人事件の謎に少しずつ迫っていた。
と、これが大まかなストーリー。
舞台は無人島の角島・十角館と本土。
本土にいる江南は連絡手段がない角島での連続殺人を知らず、過去の事件を追いかけているが、角島では現在進行形の殺人が起きている。
このふたつの事件がどこで交差するのか、犯人は誰で動機は何なのか。
途中で犯人はわかるものの、トリックは最後までわからず。
原作はもちろん面白かったけれど、映像でアレをどう表現するのか。
今回の映像化で一番話題となったアレの答え合わせをチェック!
※ネタバレなし。カッコ内は俳優名です。
主な登場人物
K大学ミステリー研究会
※角島の合宿に参加した学生は研究会内での愛称(推理作家が由来)で表記。
●江南孝明(奥 智哉)
3回生でミステリ研究会の元メンバー。ある手紙をきっかけに角島で起こった事件を調べ始める。
●守須 恭一(小林大斗)
江南の友人でミステリ研究会のメンバー。江南からの連絡で事件に興味を持つ。
●エラリイ(望月 歩)
知性をひけらかし気味の男。頭の回転は早いが発言がどうにも鼻につく。角島の合宿ではリーダー的な存在。
●ポウ(鈴木康介)
医学部4回生でオルツィの幼馴染。
●カー(瑠己也)
法学部3回生。ひねくれた性格でやたらと他人に噛み付くが、特にエラリイとよく揉める。
●ヴァン(小林大斗)
理学部3回生で伯父が角島を購入し、それがきっかけで合宿場所になった。
●ルルウ(今井悠貴)
文学部2回生で会誌「死人島」の編集長。今回の合宿でそれぞれに作品を書いてもらうよう原稿用紙を持ち込む。
●アガサ(長濱ねる)
薬学部3回生で研究会の女王様的存在。
●オルツィ(米倉れいあ)
文学部2回生で控えめな性格。
角島の青屋敷・十角館関係
●中村青司(仲村トオル)
風変わりな天才建築家。角島に青で統一された通称青屋敷を建て暮らしていたが妻や使用人を殺し自殺。
●中村和枝(河井青葉)
青司の妻。青屋敷で左手首を落とされた状態で見つかる。左手首は行方不明。
●中村千織(菊池和澄)
青司の娘でK大学ミステリ研究会に所属。青司より半年前に急性アルコール中毒で死亡。
本土にいる関係者
●島田 潔(青木崇高)
お寺の三男で中村青司の弟・紅次郎の友人。紅次郎を訪ねた江南から聞いた角島の事件に興味を持つ。
●中村紅次郎(角田晃広)
中村青司の弟。島田は大学の後輩。
●島田 修(池田鉄洋)
潔の兄で警部。潔は兄から情報を得ることも。
(↑江南(右)と島田潔。oku_tomoya_officialより)
(↑ミステリ研究会のメンバー。ayumumochizuki_officialより)
十角館の殺人の見どころ
(↑hulu_japanより)
アレをどう映像化するか
原作を読んだ人なら一番気になるのはやっぱりアレをどう映像化するかというところ。
私は「後ろ」だけとか「ぼかす」「パーツだけ」と予想。
でもちゃんと見えてた!
原作を読まずに観た人はどこで気づくんだろうか。
勘のいい人ならアレが登場してしばらくして「存在感をわざと消してる?」と気づくかも。
前半はうまいことアレをちゃんと見えないようにしてる!
原作を読んだ人なら「どう見せてくれるの?」とワクワクするに決まってる!
私の感想は「なるほど、そういう手で来たか。知名度があまりない俳優っていうのもいい」と。
知名度があまりないという表現はたいへん失礼だけど、先入観がなくてよかった。
普段、日本のドラマはめったに観ないので、大学生役の役者さんはどの人も新鮮な気持ちで観られた。
私は千織役の菊池和澄が彼女の陰の部分を上手に演じていたのが印象に残っている。
そして時折見せる儚げで消えそうな雰囲気、そこにアレも惹かれたのかもって思った。
芸達者な青木崇高
学生や子どもが多く登場するドラマや映画が苦手な私が、このドラマを完走できたのは島田 潔役の青木崇高の力がかなり大きいかも。
謎に取り憑かれた大学生の江南のよき相棒がこの島田。
暇を持て余し、若者とは少し違う目線で事件を俯瞰で見ている島田。
今まで青木崇高の演技に縁がなかったため、彼の魅力にいまひとつ気づかなかった。
今後はちょっと気にしてみようかなと。
原作とのキャラの違い
あくまで私の感じた原作と感じが違うなぁと思ったキャラの一例。
●エラリイ
原作ではもっとクールで知的な印象だったのが、ドラマではちょっとイタいけど頭のいい男の子。これはこれで面白かったけど。
●カー
原作ではこんなにエラリィに噛み付いてたっけ?って思った。役者の顔のせいもありそうだけど、他者へのイライラ度はドラマの方がかなり高めかも。
●アガサ
原作のイメージはロングヘア。80年代のいい女のイメージ「浅野温子」っぽい大人なイメージだと思ってたら、ドラマでは聖子ちゃんヘアのかわいい系女王様だった。
●島田 潔
原作は冷静な大人。それがドラマでは飄々とした大人子ども(興味のあることは徹底的に突き詰める)キャラで、かなり軽くなった感じ。
●中村青司
原作はもっと偏屈な男。でも仲村トオルの顔力が強すぎて「変な男」のイメージが湧きづらい。
●吉川誠一(前川泰之)
角島・青屋敷の庭師で行方不明の男。原作ではぼんやりとしたイメージだったのが前川泰之が演じることで「こんな男前だったの?」となぜか原作の吉川に謝りたくなった。
●松本邦子(濱田マリ)
原作では登場しないキャラ。ドラマでは江南が住むアパートの大家で、家賃の催促がてら江南の私生活の心配をするおせっかいおばさん。
リアルな80年代
●アガサの口紅とピンクハウス
ローズ系と赤の2本の口紅がポーチの中に、そのうちの1本に見覚えが。
それは資生堂のシフォネット。
緑のケースにグニャッとした抽象的な模様が入っている口紅で、母が当時シフォネットシリーズを使っていた。
よくこれを探してきたな!と感心。(実は今でも売ってる!)
母はこの口紅や化粧品を買うとき、ショッピングセンターに入る化粧品店に行き、美容部員とカウンター越しにあれこれ話をしながら買っていたっけ。
そして何を買ったかは、美容部員が分厚い台帳に手書きで記入してたのよ。
アガサが着ていた洋服にピンクハウスのロゴが!
なんて懐かしいピンクハウス。
でも女王様気質のアガサにピンクハウスはイメージが違いすぎる。
DCブランド全盛期、ふわふわフリル&ボリューミーな服で独自の道を歩んでいたピンクハウス。
デザイナーの金子功が妻・立川ユリのためにデザインした服。
あの路線がそのまま今でも健在と知り、なぜかうれしかった。
●カーのパーソンズのトレーナー
ピンクハウス同様、当時大流行りだったパーソンズ。
派手目の色使いでカジュアルなアイテムが人気だったけど、私は全然興味なかった…。
●喫煙率の高さ
今ほど分煙も進んでなく、基本どこでも吸えたタバコ。
ドラマの中でもそのまんま。
ミステリー研究会のメンバーもルルウとオルツィ以外全員喫煙者。
ただ、このドラマはタバコが殺人の道具やヒントとしても使われるので、ここまで喫煙者が多い設定が必要だったのかも。
●車に家電に家庭用品
アナログ表示の車の内装、角ばった冷蔵庫や花柄のホーロー鍋など、昭和の家庭にあったおなじみのものたち。
看護師の制服もスカートにナース帽だし。
今の若者にはどんな風に映るんだろうか。
私にとってはそれほど大昔じゃないんだけどな…。
●携帯のない世界
携帯が普及する前だから成立するこのドラマ。
たとえ無人島でも電波さえ届けば、無人島で連絡不可能という設定は成り立たないしね。
固定電話や手紙など、昔はそれで用が足りてたんだなと今さらながら思ったりして。
観終わった感想
(↑hulu_japanより)
原作を読んでからドラマを観て!と旦那に言われたので、その通りにして挑んだ『十角館の殺人』。
ストーリーの面白さはもちろん、どう映像化するのかが楽しみで。
そして登場人物の大学生と同じ80年代に学生だった私は懐かしい気持ちもあったりと、二重に楽しめた作品。
終盤、犯人がわかり、トリックの答え合わせをしていく楽しさは原作もドラマも同じ。
でも、原作の方が「!!!!」かな。
ページをめくったあの1行の重みは紙の本ならでは。
もちろん、原作飛ばしていきなりドラマでもあの告白シーンは十分楽しめるはず。
最後にドラマ版にひとこと。
あんなに固めているのに、やわな風が吹いたくらいでパラッなんてしないよ!
(ぜひ映像で要確認!)
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